故人に借金があるかもしれない。長く会っていなかった親族の相続人になってしまった。そんなとき「相続放棄をしたいけれど、部屋の片づけはどうすればいいのか」と迷う方は少なくありません。
先にお答えします。相続放棄を考えているなら、放棄するかどうかの判断がつくまで、遺品の処分・売却(買取)・形見分けはしないでください。遺品は故人の財産(相続財産)にあたることがあり、手を付けると「相続を承認した」とみなされて、放棄できなくなるおそれがあるためです。まず財産と借金の手がかりを確かめ、司法書士・弁護士に相談してから片づけに進むのが安全な順番です。
以下は民法の条文と裁判所の案内をもとにした一般的な内容です。個別のケースの扱いは事情によって変わるため、最終的には家庭裁判所・司法書士・弁護士にご確認ください。
相続放棄と遺品整理の関係|なぜ片づけが問題になるのか
相続放棄は、家庭裁判所に申し出る(申述する)ことで行う手続きです(民法938条)。放棄すると、その相続については「初めから相続人とならなかった」ものとみなされます(民法939条)。借金を引き継がない代わりに、預貯金や不動産などのプラスの財産も受け取れません。
注意したいのが、民法921条の「法定単純承認」です。次のような場合、相続を承認した(単純承認をした)ものとみなされます。
- 相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為などは除かれます)
- 3か月の期間内に、相続放棄も限定承認もしなかったとき
- 相続放棄をした後でも、相続財産を隠したり、勝手に使ったりしたとき
家具や家電、貴金属、車なども、故人のものなら相続財産です。善意で片づけたつもりでも「処分」にあたれば、放棄できなくなるおそれがあります。
相続放棄を考えている間にしてはいけないこと
次の行為は、相続財産の「処分」とみられるおそれがあります。放棄するかどうかの判断がつく前には、しないでください。
| してはいけないこと | 理由・注意点 |
|---|---|
| 家財・貴金属・車などを売る(買取に出す) | 売却は「処分」の代表例です。少額でも、売るのは方針が決まってから |
| 値段のつきそうな品の形見分け・持ち帰り | 親族に分ける・自宅へ持ち帰ることも処分とみられるおそれがあります。放棄した後に持ち出すと「隠した」とみられることも |
| 家財をまとめて捨てる・片づけを一括で頼む | 中に値段のつく品が入っていれば、処分にあたるおそれがあります |
| 故人の預貯金を引き出して使う | 支払いのためでも、相続財産を使うことになります |
遺品整理では、値段のつく品を買い取って作業料金から差し引く方法があります(まるっと片づけ隊も行っています)。ただ、買取は売却そのものです。相続放棄を考えている段階では使わず、方針が決まるまで待ってください。
判断が分かれること|「やってよい範囲」の考え方
財産を「調べる」ことは認められています
民法915条2項は、相続人は承認や放棄をする前に、相続財産の調査ができると定めています。通帳・郵便物・請求書・契約書などから財産と借金の手がかりを集めるのは、判断に必要な作業です。確認した書類は捨てずに保管し、どこで見つけたかをメモしておくと相談のときに役立ちます。
財産の現状を保つ「保存行為」
民法921条1号のただし書きは、保存行為を「処分」から除いています。一般に、財産の現状を保つための行為がこれにあたると考えられていますが、どこまでが保存行為かは個別の事情で判断が分かれます。
判断が分かれやすいこと
- 冷蔵庫の食品や生ごみなど、明らかに値段のつかない物を捨てる
- 写真や手紙など、お金に換えられる価値が低い品を形見として持ち帰る
- 故人の預貯金から葬儀費用を支払う
- 賃貸の解約や、部屋の明け渡しに応じる
「これくらいなら大丈夫」と自分で決めず、手を付ける前に司法書士・弁護士に確認してください。迷う物は、写真に残してそのまま置いておくのが安全です。
相続放棄をお考えの方も、まずはご相談だけで構いません。方針が決まるまで、処分や買取は進めません。
見積もり無料大阪・期限は「知った時から3か月」|熟慮期間と手続き
相続放棄をするかどうかを考える期間は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条1項。「熟慮期間」と呼ばれます)。期間内に放棄も限定承認もしないと、単純承認をしたものとみなされます(民法921条2号)。
財産の調べに時間がかかり、3か月では判断できないときは、家庭裁判所に期間を延ばすよう申し立てる制度があります(民法915条1項ただし書き)。期限が近いときは、片づけより先に専門家へご相談ください。
申述先と費用
| 項目 | 内容(裁判所の案内より) |
|---|---|
| 申述する人 | 相続人本人(未成年者などは法定代理人) |
| 申述先 | 亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円分(申述する人1人につき)と、連絡用の郵便切手 |
| 主な書類 | 相続放棄の申述書、亡くなった方の住民票除票または戸籍附票、申述する人の戸籍謄本など |
たとえば寝屋川市・枚方市・守口市・門真市・大東市・四條畷市・交野市に最後の住所があった場合、申述先は大阪家庭裁判所の本庁(大阪市中央区)です。これらの市を受け持つ支部はありません。
賃貸の明け渡しを求められたときの考え方
故人が賃貸住宅に住んでいた場合、大家さんや管理会社から「早く部屋を空けてほしい」と連絡が来ることがあります。焦って家財を捨てたり売ったりすると「処分」にあたるおそれがあります。
- 相続放棄を検討していることを大家さん・管理会社に伝える
- 賃貸借契約書や、大家さんからの書面・メッセージを手元にそろえる
- 解約や明け渡しにどう応じるかは、司法書士・弁護士に確認してから返事をする
ご自身が連帯保証人になっている場合、その責任は故人から引き継ぐものではなく、ご自身の契約によるものです。相続放棄とは別に、専門家に確認してください。
放棄した後の「保存」の義務(2023年4月から)
2023年4月1日施行の民法改正で、相続放棄をした人の義務が整理されました。放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、ほかの相続人や相続財産の清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ程度の注意をもって保存しなければなりません(民法940条1項)。
故人と同居していた場合など、遺品を手元で管理している状態だと、この義務が関係してくることがあります。相続人全員が放棄した場合は、利害関係人などの申立てにより、家庭裁判所が相続財産の清算人を選びます。放棄すれば部屋のことは一切関係なくなる、とは限らないため、明け渡しとあわせて専門家に相談しておくと安心です。
専門家への相談の流れと、まるっと片づけ隊にできること
- 何も捨てない・売らない・分けない。部屋の様子は写真に残す
- 通帳・郵便物・契約書などから、財産と借金の手がかりを確かめる
- 亡くなったこと(自分が相続人になったこと)を知った日を確認し、3か月の期限を書き出す
- 司法書士・弁護士に相談し、放棄するかどうか、どこまで手を付けてよいかを確認する
- 方針が決まってから、片づけ・遺品整理に取りかかる
まるっと片づけ隊にできること
まるっと片づけ隊は、弁護士・司法書士と連携しています。お電話・LINEで「相続放棄を考えている」とお伝えいただければ、ご相談の段階では何も処分・買取をせず、まず専門家への相談をおすすめします。
相続放棄をしないと決まった場合や、専門家から片づけてよい範囲の確認がとれた後は、遺品整理を承ります。お見積もりは現地で無料、立ち会いが難しい方もご相談ください。値段のつく品は買取歴14年の代表 大杉 和哉が本人で査定し、買取額は作業料金から差し引きます(古物商許可に基づく買取・大阪府公安委員会 第622270155749号)。料金の目安は、遺品整理 1K・1DKで28,000円〜(税込)です。詳しくは遺品整理のページをご覧ください。
まとめ
相続放棄を考えているときの遺品整理は、「判断がつくまで処分・売却・形見分けをしない」が基本です。財産や借金を調べることは認められているので、書類の確認から始め、3か月の期限を意識しながら司法書士・弁護士に相談しましょう。個別の扱いは事情で変わるため、最終的な判断は家庭裁判所・司法書士・弁護士にご確認ください。
よくあるご質問
Q. 亡くなってから3か月が過ぎてしまいました。もう相続放棄はできませんか?
A. 3か月は、亡くなった日ではなく「自分のために相続の開始があったことを知った時」から数えます。裁判所の案内では、相続財産がまったくないと信じ、そう信じたことに相当な理由があるときなどは、財産があると知った時から3か月以内であれば受理されることもあるとされています。早めに司法書士・弁護士にご相談ください。
Q. 相続放棄の申述が受理された後は、何をすればいいですか?
A. 裁判所の案内では、故人の財産を管理している場合は相続人に引き継ぐこと、債権者から請求を受けている場合は受理されたことを債権者に連絡するとよいことが示されています。受理を証明する書類は、受理した家庭裁判所に申請して受け取れます(収入印紙150円分)。
Q. まるっと片づけ隊に相談すると、すぐに買取や片づけを勧められませんか?
A. いいえ。相続放棄をお考えの方には、方針が決まるまで買取や処分を進めないようお伝えしています。ご相談とお見積もりは無料です。
